葛西モア矯正歯科コラム編集部です。
どんな医療行為にもリスクはつきものですが、予定外の事態は、時にトラブルに発展することもあります。歯列矯正ではどんなトラブルが起こるのか、治療を検討している方は、気がかりなことでしょう。
今回は、歯列矯正で相談が寄せられそうなトラブルとその回避方法について、葛西モア矯正歯科の酒井院長に詳しく伺いました。
目次
歯列矯正トラブル1「矯正を始めたら顎関節症になった」
―「歯列矯正が原因で顎関節症になる」のは、よくあることですか?
ほとんどありません。顎関節症の原因は多岐にわたり、確かに、歯並びや噛み合わせもその1つです。しかし、歯列矯正は歯並び・噛み合わせを良くするわけですから、矯正が直接の原因となって顎関節症を発症する可能性は低いと思います。
「歯列矯正中に顎関節症になった」というケースでは、歯を移動させたこと以外に、隠れた原因があることも多いと思います。顎関節症はたいてい、就寝中の歯ぎしりや食いしばり、片側ばかりで噛む癖、横向き寝やうつぶせ寝など複数の要因があわさって発症するものですから。
―歯列矯正中に顎関節症になったら治療は続けられませんか?
個人差はありますが、治療が継続できるケースがほとんどだと思います。当院の場合は、矯正中に顎関節症を発症しても軽度のことが多く、治療の支障にはなりません。
歯列矯正が続けられないほど重度の顎関節症になる可能性のある患者様は、たいてい、治療前のカウンセリング時点からその兆候が出ています。当院では、そのような方には歯列矯正より先に顎関節症の治療をお受けいただくようお願いしています。
「顎関節症で歯列矯正を続けられなくなった」というトラブルを避けるには、治療前のカウンセリングを丁寧に行っているクリニックを選ぶことが大切だと思います。
歯列矯正トラブル2「治療が長引く・なかなか終わらない」
―治療期間が当初の想定より長引くこともありそうです。
治療開始前に患者さんに伝える治療期間はあくまで「目安」ですが、歯科医師がこの点をきちんと説明していないと、後のトラブルに発展しかねません。
特に気を付けたいのは、結婚式、成人式、就活など特定の時期までに歯並びを整えたい場合です。歯がなかなか動かない人もいますから、余裕を持って早めに治療を開始しておくのが理想ですね。
―歯がなかなか動かないということもあるんですね。
ありえます。歯が移動する速度は個人差が大きく、実は、治療を開始してみないとなんとも言えないからです。
治療期間が伸びる要因は他にもあります。虫歯になり虫歯治療のために装置を取り外せば、そのぶん歯列矯正の期間は長引きます。また、インビザラインのように自分で付け外しする装置は、医師の指示どおりに装着しないと効果があらわれません。
虫歯は適切に歯磨きすれば予防できますし、装置の装着時間を守るには個人の管理が大切です。治療期間を長引かせないためには、治療について正しい知識を持つことも有効ですので、疑問点は積極的に質問していただければと思います。
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歯列矯正トラブル3「矯正した歯が後戻りしてしまった」
―歯列矯正で動かした歯が後戻りしてしまうことはありますか?
あります。後戻りするのはほとんどが「リテーナー」をきちんと使用していなかったケースです。
矯正治療で歯を並べた直後は、歯と歯ぐきが元に戻ろうとするため、自然にまかせておくと後戻りが起きます。これを防ぐために使用する装置が「リテーナー」です。
リテーナーを装着する段階になると「矯正治療が終わった」と思いたくなりますが、整った歯並びをキープするにはここからが肝心です。リテーナーは医師の指示通りに使っていただきたいと思います。
―リテーナーをつけていたら、後戻りすることはないのですか?
基本的にはありませんが、例外は「開咬(かいこう)」の方です。
「オープンバイト」とも呼ばれる開咬は、奥歯を噛み合わせても前歯の間にすき間ができ、噛み合わない状態です。開咬は、リテーナーを装着していても後戻りを起こす可能性が高いのです。
開咬になる原因の1つは、舌で前歯を押すクセで、これは、自分で歯に矯正の力をかけているようなものです。クセなので、無意識のうちに長時間行ってしまうことも珍しくなく、やめようと思っても簡単ではありません。したがって、開咬の人はリテーナーをつけていても後戻りが起こりやすいのです。
―開咬の方が後戻りしてしまった場合は、どう対応するのでしょうか?
ご希望があれば再治療を行います。その際、1回目の時と同じ費用がかかるのか、一部の費用負担でいいのかは、クリニックによって異なります。数ヶ月で元に戻ってしまった場合は少額の負担で再治療ができるけれど、何年も経過していれば新規の治療として費用がかかるなど、ケースバイケースのところもあります。
いずれにせよ、治療後の後戻りは、患者様にとって精神的な負担が大きいことです。トラブルを避けるため、開咬の患者様は事前にしっかり説明を受け、後戻りのリスクをよく理解したうえで歯列矯正を開始すべきだと思います。場合によっては、矯正よりも先に舌の癖を直すためのアプローチをするなども有効かもしれません。
歯列矯正トラブル4「思い描いていた口もとになれなかった」
―歯列矯正で歯並びは整ったものの、口もとの印象が予想外に変わってしまった…などのトラブルはありますか?
そのようなケースはあまり聞かないように思います。矯正分野の歯科医師は一般に、口もとの印象の変化について患者様に丁寧に説明する傾向があるからではないでしょうか。
歯列矯正は顔の皮膚や筋肉に直接アプローチするわけではありません。しかし、歯や歯ぐきは口もとを構成するパーツの1つですので、歯並びを整えることで間接的に、ほうれい線や鼻の下(人中)も変化することがあります。当院でもこのような可能性が考えられる方には、しっかりご説明するようにしています。
また、歯列矯正後の口もとをシミュレーションできる専用ソフトウェアもあります。あくまで参考ではありますが、患者様にとっての安心材料の1つになると思います。
歯列矯正トラブル5「インビザラインで治療できないと言われた」
―インビザラインでの矯正を希望しても、かなわないケースもあるようですね。
歯並びの状態によっては、そのようなこともあります。正確には「インビザラインで治療できない」ではなく「インビザラインでの治療が適切ではない」ということです。
そのような方に対して、強引にインビザラインでの治療を行うと、歯は一列に並びますが「口もとが盛り上がってしまいトータルの美しさに欠ける」「上下の歯がきちんと噛んでいない」といった審美性・機能性の問題が生じる場合があります。
歯列矯正は、症状に応じて適切な治療方法が異なります。医師がインビザラインでの治療が難しいと判断する場合は、相応の理由があるはずです。トラブルを避けるためにも、医師としっかり相談して治療方法を決定することが必要です。
トラブルを防ぐにはしっかりと説明してくれるクリニックを選ぼう
―歯列矯正でのトラブルを避けるには、どんなことに気をつければいいでしょうか?
大半のトラブルは「聞いていなかった」「知らなかった」が原因で起こりますから、治療開始前の説明とカウンセリングを丁寧に行っているクリニックで治療を受けることが大切だと思います。
医師から十分な説明を受けたうえで患者様が納得して治療に合意することを「インフォームドコンセント」と言います。歯列矯正でも、インフォームドコンセントは非常に大切です。
―万が一、トラブルになった、治療方針に疑問があるなどでセカンドオピニオンが欲しい時は、他のクリニックに相談しても良いのでしょうか?
もちろん構いませんし、患者さんにはそうする権利があります。
ですが、いきなり新しいクリニックに駆け込むことはあまりおすすめできません。というのも、有意義なセカンドオピニオンを得るには、主治医から提供されるこれまでの治療内容や検査データが必須だからです。治療開始時点ではどのような状態だったのか、何を目標にどんな治療を行ったのかがわからなければ、セカンドオピニオンを求められた医師も、判断ができません。
治療方針に疑問を抱いたらまずは主治医に説明を求めましょう。他の歯科医師の意見も聞いてみたいなら、主治医から紹介状を書いてもらうのがベターです。
―最後に、歯列矯正でのトラブルが心配な人にメッセージをお願いします。
不安を解消するには、歯列矯正にともなうリスクを正しく知ることが大切です。繰り返しになりますが、納得のいくまで説明してくれるクリニックを選ぶことがポイントです。
当院では、じっくり丁寧な説明を心がけており、強引に治療を勧めることはありません。患者さんが理解・納得された結果として「歯列矯正をしない」という判断をされたなら、もちろんそれを尊重します。
一人ひとりにとってベストな選択ができるようお手伝いさせていただきますので、歯列矯正をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。
葛西・西葛西エリアで歯列矯正のご相談は葛西モア矯正歯科へ
江戸川区にある葛西モア矯正歯科では、日本矯正歯科学会の認定医が診察をいたします。
当医院は、東京メトロ東西線の葛西駅から徒歩0分と大変便利な立地です。葛西駅へは、西葛西駅・浦安駅からわずか2分。南行徳駅も12分以内に到着するので、市川市内からの通院にとても便利です。西船橋からも乗り換えなしで15分と通いやすいため、千葉方面からも多くの方にご利用いただいております。
葛西・西葛西周辺で“大人の歯科矯正”と“審美歯科治療”をお探しなら江戸川区にある「葛西モア矯正歯科」へぜひお越しください。
この記事の監修医師
葛西モア矯正歯科 院長
酒井 優真
Yuma Sakai
- 日本矯正歯科学会 認定医
- インビザライン公式認定ドクター
日本全国の歯科医院で矯正治療に従事し、3,000人以上の治療を担当。2017年、葛西駅前に「葛西モア矯正歯科」を開院。
歯列矯正への心理的ハードルを下げるべく、「治療中の見た目」や「痛みの少なさ」に配慮した治療に力を入れている。
<3000症例以上の豊富な経験と高度な技術で、装置の見た目にもこだわる矯正治療を提供>
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