「親知らず」は、20歳前後で生えてくることの多い歯です。20歳といえば、大学生や社会人となることでほかの人との接点も増え、歯列矯正を検討するようになる年頃。親知らずの生えてくる時期と矯正したい時期とが重なる人も多いようです。
そのため、「矯正中に親知らずが生えたらどうする?」「親知らずが矯正中の歯に悪い影響を与えるのでは?」などと、歯列矯正を始めるにあたって気がかりに思うこともあるでしょう。今回は、歯列矯正と親知らずの関係について、詳しく解説します。
目次
親知らずってどんな歯?
親知らずは奥歯の中でも1番奥にある歯で、最後に育つ永久歯です。親知らず以外の永久歯は15歳頃までにすべて生え揃います。しかし親知らずは10代後半から20代前半に生えてくるケースがほとんどです。
大学生や社会人になりたてで歯列矯正をスタートした場合は、治療中に生えてくる可能性が高くなります。
親知らずは上下2本ずつ、合計4本ありますが、そのすべてが生えてくることはめったにありません。とくに「上の親知らずは生えたけれど、下が生えない」ことはよくあり、当院に通院されている患者様で下の親知らずが生えているのは、1~2割の方です。
親知らずのせいで歯並びが悪くなることはある?
親知らずが生えてきて他の歯を押すことはほとんどない
親知らずが歯並びに与える影響については、いろいろな意見があります。しかしながら、親知らずが原因で歯並びが悪くなることは考えにくい、というのが当医院の見解です。
たしかに親知らずは他の歯よりサイズが大きいことも多く、横を向いて生えてくることもよくあります。そのため「他の歯に余計な力がかかり歯並びを悪くしてしまうのでは」と不安に思う方も少なくありません。実際に、患者様からご相談を受けることもあります。
そこで「親知らずが他の歯に与える力」について考えてみましょう。
親知らずは左右に1本ずつあるため、合計2本です。一方、親知らずの前には14本の歯があります。
いくら親知らずが立派だといっても、2本の歯で14本の歯を押したところで、歯並びを悪くするほどの力はかけられません。他の歯に影響を与える可能性はゼロではありませんが、親知らずは歯並びを悪くする「主原因」になるとは考えにくいのです。
歯列矯正後に親知らずのせいで歯並びが崩れる?
歯列矯正を行い、歯並びを整えた後に、親知らずが生えてきたとします。しかしそれが直接の原因で歯並びが崩れ、矯正をやり直しすることはまずありませんのでご安心ください。
歯列矯正中に親知らずが生えてきたら抜歯は必要?
基本的に歯列矯正のために親知らずを積極的に抜く必要はありませんが、矯正中に不都合が生じる場合は例外です。
親知らずが手前の歯にかぶさるように生えていて矯正治療に支障をきたす場合や、奥歯すべてを後方に移動させる場合、親知らずが邪魔になるので抜歯することがあります。
親知らずが埋まっている状態でも歯列矯正は可能
歯列矯正をするにあたって、親知らずの存在が問題になることは基本的にありません。もし途中で生えてきたとしても、それが原因で歯列矯正を中断したりやり直したりする必要はないのでご安心ください。というのも親知らずは、一般的に歯列矯正の対象外なのです。
親知らずは他の歯に比べて生える時期が遅いため、たいていの方は歯列に親知らずが顔を出すための十分なスペースが残されていません。したがって親知らずは、歯ぐきの内部に大半が埋まったままで斜めに生える、もしくはそもそも生えてこないケースも多いのです。このような事情から、親知らずは歯列矯正の対象から外されています。ワイヤー矯正でもインビザラインでも、通常親知らずには装置をつけません。
ただしまれに親知らずがきちんと生えている方の場合は、親知らずも歯列矯正で一緒に並べます。
矯正治療のために抜歯が必要なケースはどんなものがある?
歯列矯正の支障にならない場合は抜歯する必要はありませんが、親知らずが口内のトラブルの原因になっている時は、歯列矯正をする・しないにかかわらず抜歯をおすすめすることもあります。
親知らずは歯列の一番奥にあるため、歯ブラシが届きにくいという特徴があります。そのうえ斜めに生えたり一部しか出ていない、となるとさらに歯磨きが難しくなり、虫歯や歯周病のリスクが上がってしまうのです。
とくに注意が必要なのは、親知らずが半分ほど歯ぐきに埋まっている方です。親知らずの上の凸凹部分に食べかすがたまりやすく、歯肉炎などを招く恐れがあります。
上の親知らずは生えてきたものの、下の親知らずが生えてこない場合には、状況によって抜歯の検討をおすすめする場合もあります。上だけ生えてきてしまった場合噛み合う下の歯がないため、歯茎を傷つける可能性があるので早めに相談しましょう。
親知らずの抜歯はかかりつけの歯科医院で
矯正専門の歯科では、基本的に抜歯は行いません。そのため、かかりつけの一般歯科で抜歯することになります。
歯列矯正のために親知らずを抜歯する場合、まずかかりつけの歯科医院にお願いしましょう。必要な場合は、矯正歯科から紹介状を出すことも可能です。
親知らずを抜くメリット、デメリットとは
親知らずを抜く場合、メリットとデメリットの両方があります。詳しくみていきましょう。
抜歯のメリット
親知らずの抜歯によるメリットは、口臭・歯周病や虫歯の予防が挙げられます。親知らずを抜歯することで磨き残しを減らすことに繋がるため、口臭や歯周病の予防が期待できます。
親知らずの生え方によっては虫歯治療を妨げることもあるため、そのような場合は早い段階で治療を検討しましょう。
抜歯のデメリット
どのような治療にもリスクはつきものです。ここでは、抜歯の際に知っておきたいデメリットご紹介します。
抜歯の処置が大掛かりになることも
親知らずの抜歯は、正常に生えていれば普通の歯を抜くのとさほど変わりません。しかし親知らずがあごの骨の中に埋まっていたり、歯根の形が複雑だったりすると、抜歯の処置は大掛かりになり腫れや痛みが数日間続く場合もあります。
下歯槽神経麻痺のリスクがある
親知らずを抜歯する際のリスクとして挙げられるのが、唇や頬の感覚神経が麻痺する「下歯槽神経麻痺(かしそうしんけいまひ)」です。
下の親知らずの歯根近くには、あごの感覚神経が通っているため、親知らずを抜く際にこの神経を傷つけてしまうことがあります。特にあごの骨の中に埋まっている親知らずでは、このリスクが高くなります。
下歯槽神経麻痺になると、下あご付近の感覚が鈍くなったりピリピリと痺れるような感じが持続したりします。歯科医師によってはこのリスクを小さくするため、親知らずの抜歯を2回に分けて行うこともあるのです。
矯正が親知らず抜歯のメリットになることもある!?
まれにではありますが、歯列矯正をしておくことで親知らずを抜歯する際のリスクの軽減につながることがあります。
症状にもよりますが、診断で必要性が認められた場合、歯列矯正では歯を移動させるのに先立って、歯列にスペースを作り出すための、抜歯を行います。スペースが生まれたことで、それまでは顔を出せず歯ぐきの中に埋まっていた親知らずが、生えてこられるようになる場合もあるのです。
そうすると親知らずの位置も上の方に移動して、歯根があごの神経から遠ざかります。これによって抜歯の際に神経を傷つけるリスクが減るというわけです。
親知らずを抜かない場合も、だいたいのケースで問題なく歯列矯正ができます。もし治療後に親知らずが生えてきた場合も矯正をやり直す必要はないため、安心して大人の歯列矯正を始めてください。
親知らずの抜歯に保険は適用できる?
親知らずに限らず、矯正治療のための抜歯にかかる費用は自己負担です。
ただしその歯がひどい虫歯になっている場合は「虫歯治療のために行う抜歯」という扱いになり、保険が適用できることもあります。また親知らずが歯ぐきにあたって痛みがある時の抜歯も、保険適用の対象です。
抜歯にかかる費用は歯の状況や抜く歯によって変わってくるので、抜歯を依頼する歯科医師に確認した方が良いでしょう。
葛西・西葛西エリアで大人の歯科矯正・審美歯科なら葛西モア矯正歯科へ
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「日本矯正歯科学会」公認の認定医がいる葛西モア矯正歯科
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この記事の監修医師
葛西モア矯正歯科 院長
酒井 優真
Yuma Sakai
- 日本矯正歯科学会 認定医
- インビザライン公式認定ドクター
日本全国の歯科医院で矯正治療に従事し、3,000人以上の治療を担当。2017年、葛西駅前に「葛西モア矯正歯科」を開院。
歯列矯正への心理的ハードルを下げるべく、「治療中の見た目」や「痛みの少なさ」に配慮した治療に力を入れている。
<3000症例以上の豊富な経験と高度な技術で、装置の見た目にもこだわる矯正治療を提供>
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