「口呼吸を続けていると、見た目にも健康にも影響がある」と聞いて、心あたりのある方は多いのではないでしょうか。
口呼吸の改善方法は、原因によって異なります。とくに歯並びが悪いせいで口呼吸になってしまう場合、自力で改善するのは難しい場合があります。
ここでは口呼吸になる原因と改善方法、歯列矯正で治せるケースなどについてわかりやすく説明していきます。
目次
口呼吸になる原因とは
口呼吸と鼻呼吸の違いは、その言葉の通り、息を口で吸うか鼻で吸うか。本来、人の呼吸方法は、鼻呼吸が正しいとされています。
口呼吸は、鼻呼吸に比べると吸い込むときに筋力を必要とせず、楽に空気を取り入れられます。そのため、無意識のうちに口呼吸になってしまっている方は多いものです。口呼吸を改善するために、原因について知っておきましょう。
1.鼻がつまっている
口呼吸になってしまう原因で、最も多いといわれるものが鼻づまりです。風邪や花粉症などで鼻づまりが起きると、鼻から空気を吸い込むことが難しくなるため必然的に口呼吸になってしまうのです。
鼻詰まりが治っても、口呼吸の癖が抜けずにそのまま口呼吸になってしまうケースも考えられます。
2.出っ歯や受け口など歯並びが影響している
呼吸に影響を与えやすい歯並びは、出っ歯(上顎前突)と受け口(反対咬合)です。
出っ歯は上あごの先端あるいは、全体が下の歯よりも前に出すぎている状態。前に出た歯や舌が上唇を押し出してしまうため、自然と口が開いて口呼吸になってしまうのです。
また、下あごが上あごより前にくる受け口も口呼吸の原因になります。下の歯だけ舌で押されることで、下の歯と上の歯の歯列の大きさが合わなくなり、口が閉じにくいため口呼吸になります。
3.口腔周りの筋肉が弱い
口腔周辺にある筋肉の衰えも、口呼吸になる原因です。口周りには、口輪筋や舌筋などの筋肉があります。口輪筋や舌筋が弱くなる原因は、加齢による衰えや、子どもの頃から口呼吸の癖があること、などです。
口輪筋は、口を開閉したり、唇をすぼめたりするときにつかわれます。口輪筋が衰えると、口周りが緩んで口をきちんと閉じていられなくなるため、口呼吸になってしまうのです。
舌を上に持ち上げるためには「舌筋」という筋肉がつかわれます。本来、正しい舌の位置はうわあごにぴったりくっついているものです。しかし舌筋が衰えて舌が下がったり、歯の裏に舌がついたりすると、口が閉じにくくなります。
口呼吸のデメリットとは
口呼吸を放置していると、見た目や健康にさまざまな影響を及ぼします。口呼吸を続けることで生じるデメリットについて、説明します。
1.風邪をひきやすくなる
鼻呼吸の場合は、空気を取り入れる入口が狭いため、呼気がゆっくり肺に到達します。そのため、肺に入るのは暖かい空気です。
一方で、口呼吸では入口が広く、たくさんの冷たい空気が喉を通り、肺に流れてしまいます。その結果、口腔内や気道が乾燥したり刺激を受けたりして、のどの炎症や、扁桃腺の腫れなどを引き起こすのです。
また大気中の細菌やウイルスなどもすべて吸い込んでしまうため、インフルエンザやアデノウイルスなどの感染症にかかりやすくなります。
一方鼻呼吸は、毛や粘膜がフィルターの役割を果たしてくれるので、体内に吸収される細菌やウイルスを30%まで削減できるといわれています。
2.睡眠時無呼吸症候群を引き起こす
口呼吸は、睡眠時無呼吸症候群を引き起こす可能性があります。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時に呼吸が止まる症状です。心臓や脳、血管に負担がかかり、高血圧症や心筋梗塞などの生活習慣病の危険が高まります。
そんな睡眠時無呼吸症候群の原因となるのが「いびき」です。
いびきは、舌が寝ている間に気道に落ちてしまうことが原因で起こります。舌が落ち込む原因の多くは口呼吸の癖によるものです。
3.酸素が取り入れにくくなりダイエットにも影響する
口呼吸によって代謝が悪くなることがあります。鼻呼吸の場合は、鼻腔や副鼻腔で生成される大量の一酸化窒素により、肺の血管が拡張されて酸素の取り込みが促され、十分な吸入量を確保できます。
一方で、肺の血管が広がらない口呼吸は、鼻呼吸に比べて酸素の吸入量が少なくなります。そのため、代謝が落ちてエネルギー消費が減り、ダイエットの効果が薄れてしまうのです。
4.筋肉が発達せず皮膚がゆるむ
筋力の低下は、皮膚のたるみに繋がります。口輪筋の力が衰えると口角が下がり、皮膚がたるんだ印象を与えます。
5.アデノイド顔貌になる
アデノイド顔貌とは、のどの上にあるアデノイドが肥大して、面長や顎の首の境目があいまいになる顔立ちのことを指します。口呼吸で埃や細菌がのどを直接刺激すると、リンパ組織のアデノイドが肥大して、アデノイド顔貌を引き起こしてしまうことがあります。
口呼吸から鼻呼吸への改善方法
呼吸方法を鼻呼吸に変えることで、見た目や健康上の面でよい効果があります。ここでは口呼吸の原因にあわせた改善方法をご紹介します。
改善方法1.歯列矯正をおこなう
出っ歯や受け口などで、歯並びが原因で口呼吸になる場合は、歯列矯正が効果的です。歯列矯正の方法は、歯並びの状態や年齢などによりさまざまです。歯列矯正の方法ついては、矯正専門医にご相談ください。
※関連コラム:「歯並び悪い」はどんな状態?原因とその影響、治療方法は?
改善方法2.舌の位置に気をつける
舌の筋肉が緩み、舌が前歯に触れたり、下あごのほうに落ちることで口呼吸になります。舌の正しい位置は、前歯の少し後ろ、上あごについている状態です。舌を普段から、正しい位置に置くように意識しましょう。
改善方法3 .あいうべ体操をおこなう
舌を動かして舌筋を鍛えることで、口呼吸の改善を目指せます。
口呼吸が改善できる「あいうべ体操」は、口を大きく開けて「あ~」「い~」「う~」「べ~」と声に出すだけの簡単なものです。最後の「べ~」ではあかんべをするように舌をめいっぱい出しましょう。顔のたるみやしわの改善にも繋がります。
改善方法4.睡眠時に口にサージカルテープを貼る
日中は意識して鼻呼吸ができても、寝ているときは気づかない間に口呼吸になっていることもあります。睡眠時にサージカルテープで唇を固定すれば、寝ている間にポカンと口が開いてしまうのを防げます。
美容に大敵な口呼吸を改善するなら矯正歯科にご相談を
口呼吸は、風邪を引きやすくなるなど健康上の問題だけでなく、口元がたるんだり、代謝が悪くなったりと美容面でも多くのデメリットがあります。
注意して改善するケースもありますが、原因が歯並びの場合は自力で治すのは難しいでしょう。受け口や出っ歯が原因で口呼吸になっているのでは?と心配されているなら、矯正歯科専門医にご相談ください。
この記事の監修医師
葛西モア矯正歯科 院長
酒井 優真
Yuma Sakai
- 日本矯正歯科学会 認定医
- インビザライン公式認定ドクター
日本全国の歯科医院で矯正治療に従事し、3,000人以上の治療を担当。2017年、葛西駅前に「葛西モア矯正歯科」を開院。
歯列矯正への心理的ハードルを下げるべく、「治療中の見た目」や「痛みの少なさ」に配慮した治療に力を入れている。
<3000症例以上の豊富な経験と高度な技術で、装置の見た目にもこだわる矯正治療を提供>
住所:〒134-0083 東京都江戸川区中葛西3-37-16 第二カネ長ビル5F
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