お子様の歯並びを気にされている親御様は多いものです。お子様の歯並びは、矯正治療が必要なものと、成長とともに自然に正しい位置に落ち着くものに分けられます。
今回は、お子様の歯並びのうち、様子見で大丈夫な歯並びと矯正を視野にいれたほうがいい歯並びについて詳しく説明していきます。お子様の歯並びが気になる親御様は、ぜひ参考にしてください。
目次
子どもの歯並びは自然に治る?
お子様の歯並びは、成長とともに自然に治るものと矯正治療が必要なものに分かれます。矯正治療の必要がある歯並びの場合、自然に正しい位置に歯が並ぶことはほとんどないと考えていいでしょう。
矯正治療が必要な歯並びであっても、乳歯が生え始めた乳児期にはすぐに治療はおこなわず、歯並びが悪くなる癖を改善しつつ、様子を見る場合もあります。歯並びが悪くなる習慣には以下のものがあります。
・指しゃぶり
・唇を噛む
・爪噛み
・口呼吸
・舌で歯を押す
・片側だけで食べ物を噛む
・頬づえ
乳歯の生え始めの歯並びは気にしなくていい?
歯は顎の成長にあわせて移動するため、乳歯が生え始める時期は歯並びを気にする必要はありません。矯正治療が必要かどうかの判断は、お子様の乳歯が生えそろってからおこないます。
歯並びが決まるタイミングは6歳から
お子様の歯並びは、永久歯が生え始める6歳頃に決まります。顎の骨は、ほかの骨と異なり、6歳までに大人の骨の80%まで成長します。上顎は一般的に6歳~10歳頃に成長のピークを迎えます。下顎の成長のピークは、10歳〜15歳頃です。
歯並びが決まる要因
お子様の歯並びは、歯や顎の大きさ、くちびるや頬、舌の力や癖が大きく影響します。歯並びは、親御様やご親族などの遺伝だけで決まるわけではありません。遺伝以外に、指しゃぶりや頬杖などの生活習慣や癖が、歯並びに影響する場合もあります。
自然に治る子どもの歯並びとは
お子様の歯並びのうち、前歯がハの字に隙間が開いている歯並び、乳歯に隙間がある歯並びは、自然に正しい位置に治る歯並びです。それぞれ、詳しく説明します。
前歯がハの字に隙間が空いている
乳歯が斜めに生えるのは珍しい現象ではなく、矯正の必要はないケースが多くみられます。顎の成長とともに、歯の向きやねじれが改善されることがあるので、様子をみることが多いでしょう。
永久歯の場合も、前歯4本が斜めに生えるのは多くの場合で心配ありません。もともと永久歯の前歯は少し外側に向かって斜めに生えています。その後、顎の成長や隣の歯、犬歯などに押されて、歯は正しい位置に自然におさまることがよくあります。
お子様の顎の大きさや、歯のサイズなどにより、永久歯の歯並びが改善されない場合もあります。歯並びの角度や生えてくる位置などが心配になる点があれば、早めに矯正専門医にご相談をおすすめします。
歯に隙間がある
乳歯と乳歯の間に隙間がある歯並びも、同じく問題がない場合がよくあります。顎の成長に伴い、霊長空隙、発育空隙、リーウェイスペースと呼ばれる3つの隙間(スペース)ができます。それぞれ、役割があり、永久歯がきれいに生えそろうために必要です。
霊長空隙(れいちょうくうげき):犬歯の周りにある隙間です。上顎の隙間は、乳歯の前歯がきれいに並ぶためにあり、下顎の隙間は6歳臼歯(第一大臼歯)がきれいに生えるためにできるといわれています。
発育空隙(はついくくうげき):霊長空隙以外の歯の隙間を指します。永久歯の萌出とともに無くなります。
リーウェイスペース: 乳歯と永久歯の大きさの差により生まれる隙間です。虫歯などで乳歯を失い、リーウェイスペースが無くなると歯並びに影響を及ぼします。お子様の歯は、歯科で定期的なチェックをおすすめします。
唇の内側にある上唇小帯の位置によっては、乳歯の隙間が成長とともに埋まらず、すきっ歯の状態になる場合もあります。上唇小帯により、隙間が自然に消滅しない場合は、小帯を外科的切除したり歯の矯正治療が必要です。
永久歯の前歯に隙間がある場合は、歯が小さい、歯の本数が足りない、顎の発育不全、舌の癖、過剰歯の埋伏などで隙間ができていることも考えられます。
お子様の永久歯に隙間があるとお悩みの親御様は、矯正専門医にご相談をおすすめします。
矯正が必要な歯並び
歯並びによっては、様子見をするのではなく、矯正専門医への相談が望ましいケースもあります。矯正治療が必要な歯並びについて説明します。
反対咬合(受け口)
上下の噛み合わせが反対で、上顎よりも下顎が前に突出している歯並びです。反対咬合の原因は、遺伝や生活習慣、骨格の問題などさまざまです。
反対咬合は受け口、下顎前突とも呼ばれています。噛み合わせがの乱れは、歯や顎関節、咀嚼機能、胃腸などへの負担や機能低下につながります。顎がしゃくれている状態は、お子様のコンプレックスにもなりかねません。遅くとも永久歯に生え変わる6〜7歳ごろまでに矯正治療の開始をおすすめします。
上顎前突(出っ歯)
上の前歯が前方に突出している状態の歯並びを指します。上顎前突の症状は、以下の通りです。
・横から見ると下の歯の先が上の歯の裏についていない
・上の歯が前に出過ぎて、口のしまりが悪い
上記の症状により、口呼吸になったり、口腔内が乾きやすくなったりして虫歯や歯周病のリスクが上がります。6歳未満で、少し上の歯が出ている場合は、急いで治療をする必要はありません。指しゃぶりや爪噛みなどの悪癖が治るように指導を受けるのがいいでしょう。治療は永久歯が生え始める6歳頃からをおすすめします。
過蓋咬合(噛み合わせが深すぎる)
上の前歯が下の前歯が完全に隠れるほどに覆いかぶさっている状態を過蓋咬合といいます。噛み締めたとき、下の前歯が上の歯茎に当たる場合が多く、口腔内が傷つきやすく口内炎ができやすくなります。上顎前突の状態を併発している場合が多く、むし歯や歯周病のリスクも。治療は、前歯が生え揃った6歳前後から開始するケースが多くなります。
叢生(乱ぐい歯)
叢生(そうせい)・乱ぐい歯は、歯が重なりあって生えるため、デコボコになっている状態です。顎の大きさに対して歯のサイズが大きいため、歯がきれいに並ぶスペースが足りなくなり、歯がデコボコに生えてきます。噛み合わせが乱れるので、顎や歯、歯茎に負担がかかるだけでなく、奥まで歯ブラシが届かず磨き残しが増えるため、将来、虫歯や歯周病になるリスクも上がります。叢生は、乳歯のうちは矯正治療はおこなわずに、歯並びを悪くする指しゃぶりや頬杖などの癖があれば、改善を進めましょう。矯正治療の開始は、永久歯が生え始める6~7歳頃です。
開咬(オープンバイト)
口を閉じたときに、上下の前歯の間に隙間がある状態が、開咬(かいこう)です。オープンバイトとも呼ばれています。前歯が重ならないため、ものを噛み切る動作が難しく、胃や奥歯の負担が大きくなってしまいます。矯正治療は、永久歯が生え始める6〜7歳頃に開始するのが一般的です。幼児期のお子様は、指しゃぶりの癖をやめると、開咬が改善される場合もあります。
子どもの歯並びが気になったら専門医にご相談を
お子様の歯並びには、顎の成長や永久歯の萌出に伴い自然に正しい位置におさまる歯並びと、矯正治療が必要な歯並びがあります。矯正が必要な歯並びが自然に治ることはほとんどなく、そのまま放置すると虫歯や歯周病、顎の負担などのリスクもあがってしまいます。お子様の歯並びは6歳までに決まります。幼児期は指しゃぶりや爪噛み、頬杖など歯の負担となる癖をやめるよう促しつつ、歯の状態を注意深く見ていきましょう。お子様の歯並びが気になる親御様は、矯正専門医へご相談ください。
この記事の監修医師
葛西モア矯正歯科 院長
酒井 優真
Yuma Sakai
- 日本矯正歯科学会 認定医
- インビザライン公式認定ドクター
日本全国の歯科医院で矯正治療に従事し、3,000人以上の治療を担当。2017年、葛西駅前に「葛西モア矯正歯科」を開院。
歯列矯正への心理的ハードルを下げるべく、「治療中の見た目」や「痛みの少なさ」に配慮した治療に力を入れている。
<3000症例以上の豊富な経験と高度な技術で、装置の見た目にもこだわる矯正治療を提供>
住所:〒134-0083 東京都江戸川区中葛西3-37-16 第二カネ長ビル5F
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