歯列矯正中のお悩みでよく聞かれるのは、お食事についてです。たとえばカレーは、歯が動いて痛みがある時でも食べやすいメニューのひとつ。しかし色が濃いため、矯正装置を変色させてしまう恐れがあります。矯正が目立たないようホワイトワイヤーにしても、黄ばんでしまったら台無しです。
そこで今回は、飲食物による矯正装置の着色と対応策について、葛西モア矯正歯科の酒井院長に詳しく伺いました。
目次
「歯列矯正中にカレーを食べると矯正装置が着色する」ってどういうこと?
―歯列矯正中にカレーを食べるのはあまりよくない、という話を聞きました。本当でしょうか?
食べてはいけないという訳ではないのですが、矯正装置への着色を気にする方には、カレーはあまりおすすめできる食べ物ではありません。
ただし、これはあくまでも「見た目」の問題です。矯正装置が着色しても治療効果にはまったく問題がなく、治療の経過にも影響ありませんので、ご安心ください。
―「カレーで着色」は本当に起こるんですね!着色ってどんな感じですか?矯正装置が全体的に茶色くなってしまうんですか?
矯正装置が全体的にべったりとカレーの色に染まってしまうということはありません。装置の中には一部、ゴムやプラスチック(樹脂製)を使用する箇所があるのですが、そこがうっすらと黄色っぽくなるイメージですね。
ゴムやプラスチックは、食品の色素を取り込みやすい性質があります。「プラスチックのタッパーにカレーやケチャップを入れていたら色移りしてしまった」という経験のある方もいらっしゃると思いますが、似たようなことが口の中でも起こるのです。
歯列矯正中、カレーで着色するのは「ゴム」「プラスチック(樹脂製)」の部分
―装置は金属製のイメージが強いのですが、ゴムやプラスチックも使うのですね。
ワイヤーは金属ですが、それ以外の部分はプラスチックやセラミックなどさまざまな材質で作られています。ゴムやプラスチックを用いる可能性がある箇所、つまり食べ物が原因で着色する部分は、3つあります。
(1)ブラケット
(2)ブラケットとワイヤーを留める部分
(3)抜歯後の歯の隙間を埋めるために使用する、ブラケットとブラケットをつなぐ部分(「パワーチェーン」とも)
―3箇所も!意外に多いですね。着色が目立ってしまわないか、心配になってきました。
必ずしも、この3箇所すべてにゴムやプラスチックを使用するわけではありません。
例えば、(1)のブラケットは、セラミック製のものなら装着したままの白さがずっとキープできますし、(2)のブラケットとワイヤーを留める部分も、白い針金を使えば着色や変色はありえません。
どの材質の装置を用いるかは、担当する歯科医師の判断に委ねられる部分ですね。
―なるほど、色がつかないものを選べば良いのですね。(3)ブラケットとブラケットをつなぐ部分も、着色しない材質のものはありますか?
着色しないものとして金属製のバネがありますが、おすすめかと言われますと、難しいところです。バネは銀色のためゴムよりも目立ってしまい、「見た目」の面からは、あまり好ましくないからです。
―目立ちにくいゴム製だと着色してしまう、となると悩ましいですね。
たしかに(3)はゴム製のものを用いるケースが多いので、着色を完全に避けることは困難です。ただし、着色するとはいっても白色のゴムがうっすらと黄色っぽくなるだけ。「着色したことで装置がものすごく目立つ」というようなことはありません。
自分の歯であれば鏡でじっくり観察する機会もありますが、他人の歯を凝視する人は滅多にいないと思います。第三者の目から見たときに気になるほど色が変わることはありませんので、心配しすぎなくてもいいと思います。実際、当院でも(3)の着色について患者さんから相談を受けることはまずありません。
歯列矯正中、装置の着色を完全に予防するのは難しい
―装置の着色を気にしすぎる必要はないんですね。とはいえ、白さをキープできる方法があるのなら知りたいです(笑)
お気持ちはわかりますが、着色を予防するのは簡単なことではありません。カレーを1回でも食べれば装置にうっすらと色がついてしまうからです。それに、実は、着色を招くのはカレーだけではありません。
―カレー以外でも、着色するような食べ物・飲み物があるんですか?
カレーが一番着色しやすいとは思いますが、濃い色の飲食物は、全般に着色の可能性があります。食べ物では、ミートソースやデミグラスソース、ラー油、トマトソース、イカスミなどがそうですね。意外なところでは「スイカを食べたらピンク色に着色した」という患者様もいらっしゃいました。
また飲み物では、コーヒーや紅茶などが要注意ですが、ストローを利用して歯に触れないように飲めば着色しません。
予防として濃い色の飲食物を避けることは有効ですが、ある程度の着色は起こるのが当たり前です。ですので、着色には「対策」を考える方が良いと思います。
「カレー食べちゃった」歯列矯正で装置が着色してしまったときの対応策
―着色は、ある程度は避けられないんですね。では着色した場合の対策として、食後すぐに歯磨きや口をすすぐことは効果的ですか?
何もしないよりはずっと良いのですが、歯に食べ物がふれた時点で着色が起こってしまうため、食後すぐに歯磨きを行っても着色を落としきるのは困難です。
また、ホワイトワイヤーの中には、物理的な刺激によって塗装が剥がれてしまうタイプのものもあります。使用しているワイヤーの種類によっては、着色を落とそうと歯磨きに躍起になると、ワイヤーの塗料が剥がれてしまい、かえって変色したように見える場合もあるので注意が必要です。
―歯磨きでのリカバーには限界があるのですね。他にはどんな対策がありますか?
着色した装置を新しいものに交換するのがもっとも確実な対策です。ワイヤーとブラケットを用いる矯正を行っていると、月に1回程度、矯正装置を調整するために通院します。そのタイミングでゴムを新しいものにつけ替えるので、着色した部分はなくなります。
このゴムを付け替えるタイミングを狙って、「着色しそうな食べ物は通院の2、3日前に食べるようにしている」という方もいらっしゃいます。
―なるほど!着色した矯正装置は新品に交換してしまえばいいんですね。
とても良い作戦ですよね。ただし、(1)のブラケット は、一度歯につけた後は歯列矯正が終了するまで基本的に取り外しません。色がついたからという理由で簡単には交換できませんので、注意が必要です。着色が気になるなら、樹脂製以外のブラケットをおすすめします。
―装置の着色に対して、葛西モア矯正歯科ではどのような工夫をしていますか?
着色する可能性のある3つの部分のうち、(3)ブラケットとブラケットをつなぐ部分のみにゴムを使用しています。(1)のブラケットは着色の心配のないセラミックを、そして(2)「ブラケットとワイヤーを留めるゴムの部分」には、白くコーティングされている針金を使っています。
装置の着色は、他人の目から見てほとんど気にならないとはいえ、患者様本人にとっては気がかりな部分です。余計なストレスを減らせるよう、着色に配慮しています。
―最後に、「歯列矯正中もカレーが食べたい!」という方へのアドバイスをお願いします。
歯列矯正には年単位の時間がかかるので、治療のために好きな食べ物を我慢するのは避けるべきです。工夫して、矯正装置とうまく付き合っていただけたら、と思います。
どうしても装置の着色が気になる方は、「裏側矯正」や「インビザライン」を選ぶのも良いでしょう。「裏側矯正」なら、装置が着色しても人目に触れることはありません。「インビザライン」では、食事の際には装置を取り外すので、そもそも着色する心配が不要です。
当院では、矯正期間中も口もとを気にしたり隠したりすることなく、自然な笑顔で過ごしていただける治療を目指しています。目立たない矯正治療をご検討中の方は、ぜひ一度ご相談ください。
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葛西モア矯正歯科では、日本矯正歯科学会の認定医が診察をいたします。「裏側矯正」や「インビザライン」などの目立たない歯列矯正や、白い装置と白いワイヤーを標準使用する「表側矯正」で、治療中もナチュラルな笑顔でいられます。
当医院の最寄り駅は、東京メトロ東西線の「葛西駅」で、徒歩0分。船堀駅からは都営バス「葛西駅行き」、葛西臨海公園駅、舞浜駅からは京成バス「亀有駅行き」「小岩駅行き」にご乗車のうえお越しください。
瑞江駅、篠崎駅をご利用の人は、一之江駅から京成バスで9分とアクセス良好!
江戸川区で“歯科矯正”や“ホワイトニング”など、審美歯科治療をお探しなら「葛西モア矯正歯科」をぜひご検討ください。
この記事の監修医師
葛西モア矯正歯科 院長
酒井 優真
Yuma Sakai
- 日本矯正歯科学会 認定医
- インビザライン公式認定ドクター
日本全国の歯科医院で矯正治療に従事し、3,000人以上の治療を担当。2017年、葛西駅前に「葛西モア矯正歯科」を開院。
歯列矯正への心理的ハードルを下げるべく、「治療中の見た目」や「痛みの少なさ」に配慮した治療に力を入れている。
<3000症例以上の豊富な経験と高度な技術で、装置の見た目にもこだわる矯正治療を提供>
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